幽霊妻
大阪圭吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)歳《とし》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)口|喧《やかま》しい
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「※」は「木+内」、第3水準1−85−54、359−13]
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――じゃァひとつ、すっかり初めっから申し上げましょう……いや全く、私もこの歳《とし》になるまで、ずいぶん変わった世間も見てきましたが、こんな恐ろしい目に出会ったのは天にも地にも、これが生まれて初めてなんでして……
――ところで、むごい目にお会いになった旦那様のお名前は、御存知でしたね……そうそう新聞に書いてありましたな。平田章次郎《ひらたしょうじろう》様とおっしゃって、当年とって四十六歳。いや新聞も、話の内容はまるで間違ったことを書いてても、あれだけは確かでしたよ。N専門学校の校長様で、真面目《まじめ》すぎるのが、かえってたった一つの欠点に見えるくらいの、立派な厳格な先生様でございました。……ところで、
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