の中を向う向きに這出して行った。が、それも光を背に受けると直ぐに止まって、ひょいとこちらを振り向いた。
「エヴァンスだ!」

 全く――白髪《しらが》頭の、小さな白いエヴァンスの顔だった。愛する富子の清浄をどこまでも守り通した気品と、罪への恐怖と悔恨に、引き歪められたエヴァンスの顔だった。
[#地付き](「新青年」昭和十一年八月号)



底本:「とむらい機関車」国書刊行会
   1992(平成4)年5月25日初版第1刷発行
   1992(平成4)年5月25日初版第1刷発行
底本の親本:「新青年」博文館
   1936(昭和11)年8月号
初出:「新青年」博文館
   1936(昭和11)年8月号
※誤植の確認に際しては、初出誌を参照しました。
入力:大野晋
校正:川山隆
2009年1月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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