て間違ってはいない筈だ。だが、それにしても全く妙だ。而《しか》も蜂須賀巡査は、秋森家の双生児《ふたご》は犯人ではないと云ったぞ。すると、いったい犯人は誰だろう? 誰が主犯で、誰が共犯か? いや、もう一組他の双生児《ふたご》でもあるのかな? それとも……。
雄太郎君は、いまはもう不可解への興味などと云うところは通り越して、そろそろ気味悪くなり始めた。そして同時に、蜂須賀巡査の捨台詞がグッと腹にこたえて来た。
――証人の責任問題? チェッ、飛んでもない迷惑だ。雄太郎君は悶々と悩み続けた。けれどもいくら考えて見ても、問題の解決はつかない。そして結局自分の力では二進《にっち》も三進《さっち》も勘考がつかないと悟った雄太郎君は、誰か力になって貰える、信頼の置ける先輩はないものか、と探しはじめた。
――ああ、青山喬介!
雄太郎君は、ふと、自分の通っている学校へ、この頃ちょいちょい講義に来る妙な男を思い出した。
――そうだ。なんでもあの人は、かつて数回の犯罪事件に関係したこともあると云う。事情を打明けたなら、屹度《きっと》相談に乗って呉れるかも知れない……。
そこで雄太郎君は、学校が退《
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