描いて、
「……ゥあーい……」
と叫び声が聞えて来た。
「どうしたーッ」司法主任が思わず声を張りあげた。
すると続いて向うの声が、
「主任ですかァ?……ここにおります。死んでおります!……」
こちらの二人は一目散に駈けだした。
間もなく警官の立っているところまで駈けつけると、主任はそこで、とうとう恐ろしい場面にぶつかってしまった。
線路の横にぶっ倒れた「トントン」は、恰度レールを枕にするようにしてその上へ頭をのっけていたらしいが、既にその頭は無惨にも、微塵に轢《ひ》き砕かれて辺りの砂利の上へ飛び散っていた。
やがて「トントン」の屍骸をとりあえず線路の脇へとり退《の》けると、主任と博士は早速簡単な検屍をはじめた。が、間もなく主任は堪えかねたように立上ると、誰にもなく呟いた。
「いやどうも、ジツに恐ろしい結末ですなァ……」
すると、まだ「トントン」の屍骸の前へ蹲《うずくま》るようにして、頻《しき》りにその柔かな[#「柔かな」に傍点]両足の裏をひねくり廻していた博士が、不意に顔をあげた。
「結末?」
と、鋭く詰《なじ》るように云って、博士は、だがひどく悄然と立上った。
ど
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