深谷氏の五三・三四〇|瓩《キロ》を引く……すると、一三七・五八〇|瓩《キロ》だ。さて今度は、これからこのマベ貝やランプの七一・四八〇|瓩《キロ》を引く……ええと……六六・一〇〇|瓩《キロ》だ。六六・一〇〇|瓩《キロ》!……はて、なんだか覚えのある数字だぞ。私は大急ぎでノートの記号を辿る……と、ああまさに、黒塚氏が六六・一〇〇|瓩《キロ》!
で早速東屋氏へ、
「判ったよ」
「なに判った?」
と東屋氏は、私の顔をしげしげと見詰めながら、
「よく[#「よく」に傍点]考えて見ましたか?」
「馬鹿にし給うなよ」
「じゃあ云ってご覧」
「犯人は黒塚だ!」
「違う!」
五
「違う?……冗談じゃあない」
私は思わず吹き出した。
「全く、冗談じゃあないよ」
と東屋氏は大真面目だ。
そこで私は、いささかむッとして、
「君こそ計算違いだ」
「どうして?」
「だって、いいかい……一九〇・九二〇|瓩《キロ》から、深谷氏とこの荷物の重量を引けば、六六・一〇〇|瓩《キロ》じゃないか。そしてこれこそは、まさに黒塚氏の体重だ。しかも、ピッタリと合う……」
「だから違うんだよ」
と東屋
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