・テン》にこう尋ねた。若い支配人《バー・テン》は、急にてれ臭そうに笑いながらいった。
「いや、なんでもないですよ。……第一私なぞ、こんな幽霊現象なら、いつもちょっとしたやつを見て暮しているんですからね」と女給達のほうを顎でしゃくりながら、「この連中、昼と夜では、同じ着物もまるで違っちまうんですからね……これも一種の、銀座幽霊ですよ……」
[#地付き](「新青年」昭和十一年十月号)



底本:「とむらい機関車」国書刊行会
   1992(平成4)年5月25日初版第1刷発行
底本の親本:「新青年」博文館
   1936(昭和11)年10月号
初出:「新青年」博文館
   1936(昭和11)年10月号
入力:大野晋
校正:川山隆
2007年9月1日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全29ページ中29ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
大阪 圭吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング