花束の虫
大阪圭吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)岸田直介《きしだなおすけ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)以前|飯田橋舞踏場《いいだばしホール》で
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
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一
岸田直介《きしだなおすけ》が奇怪な死を遂げたとの急報に接した弁護士の大月対次《おおつきたいじ》は、恰度《ちょうど》忙しい事務もひと息ついた形だったので、歳若いながらも仕事に掛けては実直な秘書の秋田《あきた》を同伴して、取るものも不取敢《とりあえず》大急ぎで両国《りょうごく》駅から銚子《ちょうし》行の列車に乗り込んだ。
岸田直介――と言うのは、最近東京に於て結成された瑪瑙座《めのうざ》と言う新しい劇団の出資者で、大月と同じ大学を卒《お》えた齢若い資産家であるが、不幸にして一人の身寄《みより》をも持たなかった代りに、以前|飯田橋舞踏場《いいだばしホール》でダンサーをしていたと言う美しい比
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