たとか、話を丸く収めなかったのが、つまりこの事件の動機だね。ありゃあ一体どうして判ったのかね?』
 私は最後の質問を発した。
『ハッハッハッハッ――あ奴《いつ》ぁ僕にも、矢島が自白するまでは少しも判らなかったよ。只《ただ》、前後の事情を考えて見て、何故《なぜ》話を丸くしなかったのか――なんてカマ[#「カマ」に傍点]を掛けて見た丈《だ》けなんだ。』



底本:「新青年 復刻版 昭和7年12月(13巻14号)」本の友社
   1990年10月発行
※この作品は、「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。なお、底本のルビは適宜取り除き、現代の送り仮名と異なる漢字と難読語にふりがなを残しました。また、文中の接続詞の「迄」は読み易さを考えて「まで」に変えています。
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:大野晋
校正:小林繁雄
2001年12
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