言う風に一致しておりますからな」
 すると助役が言いました。
「一寸ご面倒ですが、前後四件の、それぞれの日附を聞かして下さいませんか?」
「正確な日附ですか?……ええと」安藤巡査はポケットからノートを取出して、「ええ最初は、二月の、十一日……次が、ええ二月十八日……それから、二月二十五日。そして昨日《きのう》の三月四日――と、それぞれの午前五時頃までの真夜中です」
「……ははあ、じゃあやッぱり……いや、すると七日目毎に盗《と》られたと言う事になるじゃあないですか※[#感嘆符疑問符、1−8−78] とすると、今日は月曜日ですから、日月《にちげつ》……と、つまり日曜日の朝毎に盗《と》られたんですね」と助役は暫く考えていましたが、やがて「……いま、この町で、日曜日、いや日曜以外の日でもいいんですが、とにかく一週間に一度ずつ定期的に繰返される一切の変化――それはどんなに一寸したつまらないものでもいいのですが、例えば、会社、学校が毎日曜日に休むとか床屋、銭湯が何曜日に休業するとか、或は又何かの市《いち》が毎週何曜日に立つとか、どんな事でもいいんですから、とにかくこの町で七日目毎に起る事を、全部一
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