よりも、なんかこう、ぞくぞくするような別の魅力があって、とても面白いんだそうですよ……飛んでもないことですが、まったく、一人の人間が罪になるかならぬかで決るんですから、そりゃアただの博奕なんかよりは性《しょう》が悪いだけに、それだけまた面白いんでしょう……いや、競馬どころの騒ぎじゃアありませんよ……それで、最初は、二、三人の仲間同志でやってたんだそうですが、もともと玄人《くろうと》同志がやってたんでは互《たがい》損《そん》ですから、やがて素人《しろうと》を引入れ始めたんです……つまり、休憩で退廷した時なぞに、休憩室で遊び半分の傍聴者を誘って、今度の事件はどうなるでしょう、なんてことを引ッ懸りにして、それじゃアひとつ賭をやろうじゃアありませんか、とまア、そんな風に仲間に引入れるんです。むろん勝敗の結果は、やっぱり玄人側の方がいつも出掛けて裁判の成行きと云うようなものになれ[#「なれ」に傍点]て来てますので、多少ともずぶ[#「ずぶ」に傍点]の素人よりは、先見の明《めい》ったようなものが出来てますので、勝が多い――図に乗って、だんだん病が深入りし、とうとう今度のように、証拠不充分で皆目見当の
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