ゥみつ》ける。真白《まつしろ》の歯《は》だ。主《しゆ》はあたしに下《くだ》さらなかつたので、主《しゆ》に属《ぞく》する者《もの》を捉《つかま》へたくなつて堪《たま》らない。さてこそ、あたしは、※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ンドオムの地《ち》から、このロアアルの森《もり》へ下《お》りて来《く》る幼児《をさなご》たちを跟《つ》けて来《き》た。幼児《をさなご》たちは皆《みな》十字架《クルス》を背負《しよ》つて、主《しゆ》の君《きみ》に仕《つか》へ奉《たてまつ》る。してみるとその体《からだ》も主《しゆ》の御体《おんからだ》、あたしに分《わ》けて下《くだ》さらなかつたその御体《おんからだ》だ。地上《ちじやう》にあつて、この蒼白《あをじろ》い苦患《くげん》に取巻《とりま》かれてゐるわが身《み》は、今《いま》この無垢《むく》の血《ち》を有《も》つてゐる主《しゆ》の幼児《をさなご》の頸《くび》に血《ち》を吸取《すひと》つてやらうと、こゝまで見張《みは》つて来《き》たのである。「恐《おそれ》の日《ひ》に当《あた》りて、わが肉《にく》新《あらた》なるべし。」衆《みんな》の後《あと》から、髪《かみ》
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