闘争、東亜諸国の対立から民族の協和、東亜の諸国家の本当の結合という新しい道徳を生み出して行かなければならないのであります。その中核の問題は満州建国の精神である民族協和の実現にあります。この精神、この気持が最も大切であります。第二に、われわれの相手になるものに劣らぬ物質力を作り上げなければならないのです。この立ち後れた東亜がヨーロッパまたは米州の生産力以上の生産力を持たなければならない。
以上の見地からすれば、現代の国策は東亜連盟の結成と生産力大拡充という二つが重要な問題をなしております。科学文明の後進者であるわれわれが、この偉大な生産力の大拡充を強行するためには、普通の通り一遍の方式ではダメです。何とかして西洋人の及ばぬ大きな産業能力を発揮しなければならないのであります。
このごろ亀井貫一郎氏の『ナチス国防経済論』という書物を読んで非常に心を打たれました。ドイツは原料が足りない。ドイツがベルサイユ体制でいじめられて、いじめ抜かれたことが、ドイツを本当に奮発させまして、二十年この方、特に十年この方、ドイツには第二産業革命が発生していると言うのです。
私には、よくは理屈が判りませんが
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