岸に散歩に出かけ遅く帰って廊下にあった残飯を食べていた。ところが突如音がして光り物が本堂に入って来た。さすがの豪傑連中度胆を抜かれてひれ伏してしまった。この時豪傑中の豪傑、今度の事変で名誉の戦死を遂げた石川登君が恐る恐る頚を上げて見ると女が本堂の奥に進んで行く。石川君の言によると「柱でも蚊帳でも総てすうと通り抜けて行く」のであった。奥に寝ていた少女が泣出す。誰かが行って尋ねて見ると「知らない小母さんが来て抱くから嫌だ……」とて、それからはどうしても一人で本堂に寝ようとはしなかった。この少女は両親を知らず、ただ母は浅草附近にいるとの事であったが、我らは恐らくその母親が死んだのだろうと話しあったのであった。
 石川君の実感を詳しく聴くと、掛江教官の四元に住むものとして幽霊の事が何だかよく当てはまるような気がする。宗教の霊界物語は同じ事であろう。
 しかし我ら普通の人間には体以上のものは想像も出来ない。体の戦法は人間戦闘の窮極である。今日の戦法は依然面の戦法と見るべきだが、既に体の戦法に移りつつある。
 指揮単位は分隊から組に進んでいる。次は個人となるであろう。
 軍人以外は非戦闘員であると
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