一般原則から敷衍《ふえん》せる戦法の系統は謬妄、危険で絶対に排斥すべきもの」と言っている。しかしフランスでは依然ジョミニー流の思想が相当有力で、殊に第一次欧州大戦の勝利はクラウゼウィッツの排撃派に勢いを与えたようで、一九二三年発行カモン将軍の『ナポレオンの戦争方式』には「一八七〇年以後は普軍に倣う風盛んで、先ずホーエンローネー、ゴルツ、ブルーメー、シェルフ、メッケル等が研究され、次いでその源泉であるクラウゼウィッツに及んだ。一八八三―八四年にはカルドー少佐が陸軍大学でクラウゼウィッツにつき大講演を行なった。……兎に角一八八三年以来、クラウゼウィッツの主義は我が陸軍大学で絶えず普及せられ、ナポレオンの戦闘方式の完全なる理解に大なる障害を為した」と論じ、ジョミニーの為した如くナポレオンの方式を発見するに力を払っている。
ドイツの有名な軍事学者フライタハ・ローリングホーフェンは「仏人の思想は戦争の現象を分析するクラウゼウィッツ観察法よりも、ジョミニーの演繹《えんえき》法、厳密なる形式的方法を絶対的に好んでいる」と評し、ジョミニー流であるワルテンブルグ(『将帥としてのナポレオン』の著者)の研
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