。
一国の戦争計画は先ず第一に外交に重きを置き、戦役計画の立案も政治上の顧慮を重視して作戦目標および作戦路を決定し、その作戦実施を将軍に命令する。
攻勢作戦を行なわんとせば先ず巧みに倉庫を設備する。倉庫は作戦を迅速にするためなるべく敵地に近く設くるを有利とするも、我が企図を暴露せざるためには適当に撤退せしめねばならない。
準備成り敵地に侵入した軍は敵軍と遭遇せば、特に有利な場合でなければ決戦を行なう事なく、機動に依り敵を圧迫する事に勉める。会戦を行なうためには政府の指示に依るを通例とする。
両軍相対峙するに至れば互に小部隊を支分して小戦に依り敵の背後連絡線を遮断し、また倉庫を奪い、戦わずして敵を退却せしむる事に努力する。敵の要塞に対してはその守備兵を他に牽制し、要すれば正攻法に依りこれを攻略する。作戦路上にある要塞を放置して遠く作戦を為す事はほとんど不可能とせられた。
[#底本173頁に君主の戦争の表あり]
かくして逐次その占領地を拡大して敵の中心に迫り、この間外交その他あらゆる手段に依り敵を屈伏して有利な講和をすることに勉める。
両軍、要地に兵力を分散しているのであるから
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