信ずる。これは信仰の統一、武力の発達の間に自然に行なわるる事であろう。

     第二節 戦争史の方向
 戦争は人類文明の綜合的運用である。戦争の進歩が人類文明の進歩と歩調を一にしているのは余りに自然である。
 武力の発達すなわち戦争術の進歩が人類政治の統一を逐次拡大して来た。世界の完全なる統一すなわち戦争の絶滅は戦争術がその窮極的発達に達した時に実現せらるるものと考えねばならぬ。この見地よりする戦争の発達史および将来への予見が本研究の眼目である。
 戦闘は軍事技術の進歩を基礎として変化して来た。また国軍が逐次増加し、それに伴ってその編制も大規模化されて来た。こういうものは一定方向に対し不断の進歩をして来ているのである。
 しかるにその国軍を戦場で運用する会戦(会戦とは国軍の主力をもってする戦闘を云う)はこれを運用する武将の性格や国民性に依って相当の特性を認めらるるけれども、軍隊発達の段階に依って戦闘に持久性の大小を生じ、自然会戦指揮は或る二つの傾向の間を交互に動いて来た。また武力の戦争に作用し得る力もまた歴史の進展過程に於て消極、積極の二傾向の間を交互し、決戦戦争、持久戦争はどうも
前へ 次へ
全319ページ中153ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
石原 莞爾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング