員の採用は恐らく義務より義勇に進むべく、戦争に当りては全国民が殺戮の渦中に投入せらるべし。
三 国軍の編制は兵力の増加に従い逐次拡大せり。特に注目に値するは、ナポレオンの一八一二年役に於て、実質に於て三軍を有しながら、依然一軍としての指揮法をとり、非常なる不便を嘗《な》めたりしが、欧州大戦前のドイツ軍は既に思想的には方面軍を必要としありしも遂に、ここに着意する能わずして、第一・第二・第三軍を第二軍司令官に指揮せしめ、国境会戦にてフランス第五軍を逸する一大原因をなせり。
戦史の研究に熱心なりしドイツ軍にして然り。人智の幼稚なるを痛感せずんばあらず。
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第六 将来戦争の予想
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一 欧州戦争は欧州諸民族の決勝戦なり。「世界大戦」と称するは当らず。
第一次欧州大戦後、西洋文明の中心は米国に移りつつあり。次いで来るべき決戦戦争は日米を中心とするものにして真の世界大戦なるべし。
二 前述せる戦争の発達により見るときは、この大戦争は空軍を以てする決戦戦争にして、次に示す諸項より見て人類争闘力の最大限を用うるものに
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