持ち出す前にちょっと二人の前へ出て断わった。
「昼間風呂敷包みを持ち出すのもおかしゅうござんすから。」と、お庄はそうも言って、胸をそわそわさせながら二人の傍をやっと離れた。
ここの女たちは、いつお袋や爺さんの機嫌が直って、芳太郎が家へ入るようになるか解らなかった。これまでちょいちょい人に貸したりなどしている部屋を、この夫婦のために長く塞《ふさ》げておくのも惜しかった。細君が主《あるじ》の好奇《ものずき》を喜ばない気振りが、お庄には見えすくように思えて来た。お庄ら夫婦がこの家へ住み込むようになってから、もう一ト月と十日余りになっていた。
俥の柁棒《かじぼう》が持ち上げられた時、お庄はようやくほっとしたような目つきになった。
従姉《いとこ》の家へ着くまで、お庄は後から追い駈けられるような気がしていたが、着いてからも気が気でなかった。
包みはすぐ奥の押入れへ隠されたが、お庄は下駄や傘までも気にして、裏の方へ廻した。
「芳がきっと来ますよ。」と、お庄は落ち着いて坐ってもいられなかった。
「今ごろは押入れでも開けて見て、びっくりしているかも知れませんよ。」
時計を見ると、芳太郎がいつも
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