あった。お庄は正雄と一緒に停車場まで見送ってやった。
叔父の家は、その三、四日前に畳まれてあった。雑作も棄売りにして、それで滞っていた払いをすましたり、自分もいくらか懐へ入れて、町に涼気《すずけ》の立った時分に、湯島の伯母の家を俥で出て行った。
叔父は田舎へ行っても、快く自分を迎えて、養生をさしてくれそうな隠れ家の的《あて》とてもなかった。東京で世話をしてやった友人が町でかなりな歯科医の玄関を張っている、そこへ行くか、亡《な》くなった妻の実家の持ち家が少しばかりある、その中の一つを借りて起臥《きが》するかよりほかなかった。どっちにしても、こんな病人に来て寝込まれるのを迷惑がるのは、解りきっていた。
田舎でみっちり養生をして、癒《なお》ったらまた出て来て、運を盛り返そうという心組みのあることは、痩《や》せ衰えた叔父の顔にも現われていた。
「私はまだ結核にはなっておらんつもりだで――。」と、叔父は立つ前にもそう言って、一人では道中が気遣われると言って危ぶむ母親や伯母に笑って言った。
「そんなこといって、汽車のなかで血でも吐いたらどうすらい。」と、母親は弟をたしなめた。ことによったら糺
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