、卦《け》などを読んで聞かせた。
「あなたの心は、今二つにも三つにも迷っている。」と、言って、お庄が亭主運のまだ決まっていないことや、今いる場所と動こうとしている方角のよくないことなどを説いて聞かせた。どちらにしても、当分|足掻《あが》きがつかないということだけは確かめられた。
お庄は銀貨を一顆《ひとつぶ》紙に捻《ひね》って、傍に出してあった三方《さんぽう》の上に置いて、そこを出て来た。出る時、俥で乗り着けて来た一人の貴婦人に行き逢った。その婦人は繻珍《しゅちん》の吾妻袋《あずまぶくろ》を提げて、ぱッとした色気の羽二重の被布《ひふ》などを着け、手にも宝石のきらきらする指環を幾個《いくつ》も嵌《は》めていた。夫人は法師《ぼうず》に目礼をすると、すぐにどたばたとお庄らの控えている傍を通って、本堂の奥の方へ入って行ったが、それを見受くる法師《ぼうず》のしおしおした目元には、悪狡《わるごす》いような笑いが浮んでいた。
お庄は何となしもの足りぬような暗い心持で、夏の日ざしの強い伝通院前の広い通りを、片蔭づたいに歩いていた。
七十七
「お前は帳場に見張りをしていておくれ、芳が来て
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