とも思っているんです。」と、お庄は思い断《き》って伯母や糺にも、自分の心持を打ち明けてみたが、二人ともあまり真面目に聞いてもくれなかった。
「そんなことを言って、今家へなんか帰ってどうするつもりだい。」と、伯母は頭ごなしに言って、先の家の深い事情などは、ろくろく考えもしないらしかった。
「むやみなことをして、中へ入った浅山の顔を潰《つぶ》すようでも悪いじゃないか。」と、糺も言った。
始終聞きたい聞きたいと思い続けていた磯野やお増のことを、お庄は時々言い出そうとしたが、それも詳しくは二人の口から聞き出すことが出来なかった。
「何だかまた別れたとかいう話だぜ。」と言って糺は笑っていた。
芳村が前からよく行きつけていた碁会所の娘と約束が出来て、そこへ荷物を持ち込んで引っ越すようになってから、お増がまた気を焦《あせ》って、このごろでは磯野の手を離れて、芳村との関係が旧《もと》へ復《かえ》ったとか、芳村がお増をどこかに隠しておくとかいうことだけは、糺の話でも解った。お庄は磯野と自分との縁が、またどこかで繋がれていそうな気もして、もどかしいようであったが、こっちから訪ねて行く心にもなれなかった
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