》き立てている蛙《かえる》の声が耳について、頭脳《あたま》が掻き乱されるようであった。いつもそのころになると、お庄は東京を憶い出していた。
 ここへ来る少し前に、茨城の方から叔父のところへ長い手紙をよこしたお照のことなどが、思い浮べられた。叔父が悪い病気に罹《かか》ってからも、一日も傍を離れなかったお照は、田舎から持って来た着物までなくして、終《しま》いにやりきれなくなって、姿を隠してしまった。それが茨城まで流れて行ったことは、叔父も知らなかった。手紙には相変らず狂気《きちがい》じみた文句ばかり並べてあったが、何をして暮しているかということを考えると、人事のようにも思えなかった。 
 女たちは、そこに置き忘れて行った敷島を吸いながら、客の品評《しなさだめ》などをし合っていた。この女たちも方々を渉《わた》り歩いて、いろいろの男を知っていた。いつもよく来る中野の隊の方の、若い将校連の風評《うわさ》なども出た。
 こんな連中にも評判のいい洋服屋の様子は、お庄にも悪くはなかった。男はお庄に東京へ出たら、是非店へ遊びに来いと言って、そこを委《くわ》しく教えてくれた。お庄のこともいろいろ聞きたがっ
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