いと言って、傍で笑っていたが、一同はお庄を連れて押しかけて行った。
「誰の許しであなたは人の家へなんか入って来ました。家宅侵入罪ですよ。」と、お増はこわい目をして、磯野を外へ連れ出すつもりで、独りで入り込んで行ったお庄を睨《ね》めつけながら呶鳴《どな》った。
「いいじゃありませんか。私は磯野さんに用事があって来たんですから。あなたこそ誰に断わって磯野さんなどをこんなところへ引っ張り込んでいるんです。」
「引っ張り込もうとどうしようと私の勝手ですよ。そのために、あなたにもお断わりしたんじゃありませんか。」
「いいえ、私はまだ磯野の口から、一言も断わりを言われたことはありません。あなただって、芳村さんという人があるじゃありませんか、あんまりずうずうしいことをなさると私がいいつけてやるからいい。」
「ええいいんですとも。芳村が帰って来たって、私逃げも隠れもするじゃありません。よけいな心配などして頂かなくとも、私が綺麗に話をつけて別れますよ。憚《はばか》りながら、そんな意気地のないお増じゃありませんよ。」
 二女《ふたり》は長い間、凄《すご》い勢いで言い合った。傍で制する磯野の語《ことば》も耳
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