ごてつくようにも聞えるが、その話は大分込み入っているらしい。いろんな情実が絡《から》み合っているようにも思える。お作は洗うものを洗ってから、手も拭《ふ》かずに、しばらく考え込んでいた。と、新吉は何かぷりぷりして、ふいと店へ出てしまったらしい。お作が入って来た時、お国は長煙管で、スパスパと莨を喫《ふか》していた。
その晩三人は妙な工合であった。お作はランプの下で、仕事を始めようとしたが、何だか気が落ち着かなかった。それにしばらくうつむいていると、血の加減か、じきに頭脳《あたま》がフラフラして来る。お国に何か話しかけられても、不思議に返辞をするのが億劫《おっくう》であった。新吉は湯に行くと言って出かけたきり、近所で油を売っていると見えて、いつまでも帰って来なかった。
十一時過ぎに、お作は床に就いても、やっぱり気が落ち着かなかった。それでウトウトするかと思うと、厭な夢に魘《うな》されなどしていた。新吉とお国と枕をならべて寝ているところを、夢に見た。側へ寄って、引き起そうとすると、二人はお作の顔を瞶《みつ》めて、ゲラゲラと笑っていた。目を覚まして見ると、お国は独り離れて店の入口に寝ていた。
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