いますか。」と姉が挨拶しようとすると、お国はジロジロその様子を眺めて、少し横の方へ出て、洒々《しゃあしゃあ》した風で挨拶した。そうして菓子を出したり、茶をいれたりした。
「あなたも流産なすったんですってね。私一度お見舞いに上ろうと思いながら……何《なん》しろ手が足りないんでしょう。」
 お作は嫂と顔を見合わしてうつむいた。
「暮だって、お正月だって、私一人きりですもの。それに新さんと来たら、なかなかむずかしいんですからね……。マアこれでやっと安心です。人様の家を預かる気苦労というものはなかなか大抵じゃありませんね。」
「真実《ほんとう》にね。」とお作は赤い顔をして、気の毒そうに言った。「どうも永々済みませんでした。」
 お作はしばらくすると、着物を着替えて、それから台所へ出た。お国は、取っておいた鯵《あじ》に、塩を少しばかり撒《ふ》って、鉄灸《てっきゅう》で焼いてくれとか、漬物《つけもの》は下の方から出してくれとか、火鉢の側から指図がましく声かけた。お作は勝手なれぬ、人の家にいるような心持で、ドギマギしながら、昼飯《ひる》の支度にかかった。 
 飯時分に新吉が帰って来た。新吉はお作の顔
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