でおん襤褸《ぼろ》でも綴《つづ》くッてる方がまだしも優《まし》だ。このくらいのことが勤まらねえようじゃ、どこへ行ったって勤まりそうなわけがない。それでよくお屋敷の奉公が勤まったもんだ。」
罵《ののし》る新吉の舌には、毒と熱とがあった。
お作の目からはポロポロと熱い涙が零れた。
「私は莫迦ですから……。」とおどおどする。
新吉は急に黙ってしまう。そうしてフカフカと莨を喫《ふか》す。筋張ったような顔が蒼くなって、目が酔漢《よっぱらい》のように据わっている。口を利く張合いも抜けてしまうのだが、胸の中はやっぱり煮えている。
こう黙られると、お作の心はますますおどおどする。
「これから精々気をつけますから……。」と顫《ふる》え声で詫《わ》びるのであるが、その言《ことば》には自信も決心もなかった。ただ恐怖があるばかりであった。
十一
こんなことのあった後では、お作はきっと奥の六畳の箪笥の前に坐り込んで、針仕事を始める。半日でも一日でも、新吉が口を利けば、例の目尻や口元に小皺《こじわ》を寄せた。人のよさそうな笑顔を向けながら、素直に受答えをするほか、自分からは熟《う》んだ柿が
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