まで来たと思うと患者は苦しみ、橋の袂《たもと》で休んでまた一本注射したりして、どうにか辿《たど》り着いたのであった。
家では大きい妹の時子も、下の奥の間で寝ていた。あの日彼女は妹を負ぶい、金をもらいに銀子を訪ねて来たのだったが、自動車から抱き降ろされ、真蒼《まっさお》になって二階へ担《かつ》ぎあげられるのを見て肝《きも》を潰《つぶ》し、駈《か》け出して来て家へ泣き込んだのであったが、一家の生命《いのち》の綱と頼む姉が倒れたとなると、七人の家族がこの先きどうなって行くであろうか。幼い彼女の胸にそれがどきりと来て、その晩方から熱があがり、床に就《つ》いてしまったのであったが、生命あって帰って来た姉が、二階へ落ち着くのを見ると、彼女はじっとしておらず、口も利けない姉の手を執って泣いていた。彼女はいやな思いをしながら、幾度梅園小路の春よしを訪ね、姉を表へ呼び出して金を強請《せび》ったか知れないのであった。それほど商売が行き詰まり、母の手元は苦しかったが、それはその時々の食糧や小遣《こづかい》になる零細な金で、銀子は月々の親への仕送りで、いつも懐《ふとこ》ろが寂しく、若林からもらう金も、大部分
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