ても、そうなります。いやだわそんなの。」
「僕を信用しないのかな。」
倉持は頭を掻《か》き、話はそれぎりになった。
世間見ずの銀子もお神がそれとなく暗示する通り、身分の不釣合《ふつりあい》ということを考えないわけではなかったが、彼女たちの育って来た環境が、産まれながらに、複雑な階級の差別感を植えつける余裕も機縁もなく、大して僻《ひが》んだり羨《うらや》んだりもしない代りに、卑下もしないのだった。俄成金《にわかなりきん》は時に方図もない札びらを切り、千金のダイヤも硝子玉《ガラスだま》ほどにも光を放たないのであった。
しかし銀子は千々《ちぢ》に思い惑い、ある時ぽつぽつした彼女一流の丸っこい字で、母へ手紙を書き、この結婚|談《ばなし》の成行きを占ってもらうことにした。もちろん銀子は小野の総領娘で、よそへ片附き籍を移すには、法律の手続を執らなければならず、父の同意も得なければならなかった。彼女はこの土地へ来てから、月々二三十円ずつ仕送りをしており、それを倉持に話すと、
「そうきちきち毎月送らん方がいいよ。お父さんまだ働けん年でもないんだろう。君を当てにしないように、たまにはすっぽかすのも
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