そこはI―町といって、仙台からまた大分先になっていた。
「どのくらいかかる?」
 銀子も少し心配になり、躊躇《ちゅうちょ》したが、歩けないだけに、西の方よりも、人気が素朴《そぼく》なだけでも、やりいいような気がした。
「今日の夜立って、着くのは何でも明日のお昼だね。それにしたところで、台湾や朝鮮から見りゃ、何でもないさ、遊ぶつもりで一年ばかり往《い》ってみちゃどうかね。いやならいつでもそう言って寄越《よこ》しなさい。おじさんがまたいいところを見つけて、迎いに行ってあげるから。」
「じゃ行ってみます。」
 銀子は決心した。
 町は歳暮の売出しで賑《にぎ》わい、笹竹《ささたけ》が空風《からかぜ》にざわめいていたが、銀子はいつか栗栖に買ってもらった肩掛けにじみ[#「じみ」に傍点]な縞縮緬《しまちりめん》の道行風の半ゴオトという扮装《いでたち》で、覗《のぞ》き加減の鼻が少し尖《とが》り気味に、頬《ほお》も削《こ》けて夜業《よなべ》仕事に健康も優《すぐ》れず荊棘《いばら》の行く手を前に望んで、何となし気が重かった。
 二日ほどすると、親たちの意嚮《いこう》をも確かめるために、桂庵が請地の家
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