か》ったわ。」
しかし銀子の母親には、結核体質らしいところが少しもないばかりか、あの白皙《はくせき》人型の越後系のがっしりした、均齊《きんせい》のよく取れた骨格で、性格にも恪勤《かっきん》とか忍耐とか、どんな困難に遭遇しても撓《たわ》まない強靱《きょうじん》さがあり、家を外にして飛び歩きがちな放浪癖の父親と反対に辛抱づよく、世帯《しょたい》の切盛りに忠実であった。父親が馬の年なら彼女はきっと牛で、彼は気の荒い駄々ッ児《こ》なかわりに人情っぽい人のよさがあり、彼女は何かと人の世話を焼きたがる一面、女らしい涙|脆《もろ》さはなく、多勢の子供だから一人や二人は死んでも、生きるためにはしかたがないといったふうだった。
父や兄弟が肺病で死に、母が油を商っていたところから、ある時|過《あやま》ってランプの火が油壺《あぶらつぼ》に移り、大火傷《おおやけど》をしたのが原因で、これも死んでしまってから、独り取り残された彼女は、親類へ預けられることになった。
「それが小山の叔母《おば》さんの家《うち》よ。」
銀子の家庭と今におき絡《から》み合いのある、小山の叔母さんも、そのころはまだ銀子の母より二つ
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