草盆《たばこぼん》に結い、涕汁《はなみず》を垂らしながら、竹馬にも乗って歩いた。午後になると、おいてき堀《ぼり》といわれる錦糸堀《きんしぼり》の原っぱへ出かけて行く。そこには金子の牧場があり、牛の乳を搾《しぼ》っていたが、銀子はよくそこで蒲公英《たんぽぽ》や菫《すみれ》を摘んだものだが、ブリキの乳搾りからそっと乳を偸《ぬす》んで呑《の》み、空《から》の時は牛の乳からじかに口呑みに呑んだりもした。彼女はよく川へ陥《はま》り、寒さに顫《ふる》えながら這《は》いあがると、棧橋《さんばし》から川岸の材木納屋へ忍びこんで、砂弄《すないじ》りをしながら着物の乾くのを待つのだった。
 二丁ばかり行くと、そこはもう場末の裏町で、おでん屋や、鼈甲飴屋《べっこうあめや》の屋台が出ていた。飴は鳩《はと》や馬や犬の型に入れられ、冷《さ》めたところで棒ごと剥《は》がれるのが、後を引かせるのだったが、その辺には駄菓子屋もあり、文字焼にあんこ焼などが、子供の食慾をそそり、銀子は金遣《かねづか》いのきびきびしているところから、商人たちにも人気がよかった。
 そんな育ち方の銀子なので、芸者屋の雰囲気《ふんいき》と折り合
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