の手に帰って来た瑠美子と、そのいずれもの幼い心を傷つけまいとして、葉子は万遍なく愛撫《あいぶ》の心と手を働かした。外へ出る時、大抵彼女は咲子の手を引いていたが、咲子はまた瑠美子と手を繋《つな》いで歩いた。夜寝るときも葉子は二人を両脇《りょうわき》にかかえるか、眠るまで咲子だけを抱くようにして、童謡を謳《うた》ったり、童話を聞かせたりした。――と、そういうふうに庸三の目にも見え、心にも感じられたが、微妙な子供たちの神経を扱いわけるのは、彼女にも重すぎる仕事であった。
ある日も咲子は、学校から退《ひ》けて来ると、彼女の帰るのを待っていた瑠美子と、縁側で翫具《おもちゃ》を並べて遊んでいた。細かい人形、お茶道具、お釜《かま》に鍋《なべ》やバケツに洗濯板《せんたくいた》、それに色紙や南京玉《ナンキンだま》、赤や黄や緑の麦稈《むぎわら》のようなものが、こてこて取り出された。
「瑠美子にも分けてあげなさいね。」
傍《そば》に見ていた庸三が言うと、
「なに? これ?」
咲子は色紙と麦稈とを、いくらか分けて与えたが、瑠美子は寂しそうで、色紙も麦稈もじき庭へ棄《す》ててしまった。葉子は傍ではらはらす
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