もも》にひたひた舐《な》めつく浪《なみ》のなかへだんだん入って行って、十間ばかり出たところで、泳いでみたが、さすがに鳥肌が立ったので、やがて温かい砂へあがって、日に当たった。新鮮な日光が、潮の珠《たま》の滑る白い肌に吸い込まれるようであった。
 葉子は素直に伸びた白い脛を、浪に嬲《なぶ》らせては逃げ逃げしていた。

 葉子が思いがけなく継母の手から取り戻した、長女の瑠美子《るみこ》をつれに、再び海岸の家へ帰って行ったのも、それから間もないことであった。彼女は十六時間もかかる古里と東京を、銀座へ出るのと異《かわ》らぬ気軽さで往《い》ったり来たりするのであった。この前東京へ帰ろうとする時彼女はいざ切符売場へ差しかかると、少しこじれ気味になって、瞬間ちょっと庸三をてこずらせたものだった。二人は売場を離れて、仕方なしに線路ぞいの柵《さく》について泥溝《どぶ》くさい裏町をしばらく歩いた。ポプラの若葉が風に戦《おのの》いて、雨雲が空に懸《か》かっていた。庸三が結婚形式を否定したので、母や親類の手前、ついて帰れないというようなことも多少彼女の心を阻《はば》んだのであろうが、いつものびのびした処《とこ
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