つづいて、門をしめる音が、明け方ちかい彼の書斎にまで響いた。

      二十四

 正月になってから、別れた後をいくらか潔《いさぎよ》くしておきたい気持で、かなり纏《まと》まった金を舞踊の師匠を介して、今度は全く自発的に葉子に贈ることにした。それと云うのも、葉子と瑠美子の身のうえについて、師匠とその若い愛人の清川とが、何かと面倒を見てくれそうな形勢があり、葉子も一人には人生的に一人には文学的に頭脳《あたま》のあがらないところがあり、そこに一つの雰囲気《ふんいき》の醸《かも》されているのを看《み》て取ったからで、そうなると葉子親子の存在も、彼らグルウプの新らしい時代の社交範囲のなかに華々《はなばな》しく復活するわけで、一人取り残された庸三の姿が、どんなに見すぼらしいものであるかは、彼には想像できないことでもなかった。もちろん今度に限らず、庸三の嫉妬《しっと》には、いつもそうした心理の裏附けがあり、葉子を文壇的に生かすために、軽率にも最初から正面を切ってしまった庸三の、それが世間的見えでもありはかない自尊心でもあった。この見えと打算とが、いつも庸三の腹のなかで秤《はかり》にかけられ、そ
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