どうだか解《わか》らないけれど……。」
「いずれにしても君がしっかりしていさえすればいいわけなんだが、しかしそういう人の取扱いじゃ園田君も可哀《かわい》そうじゃないか。」
「しかし条件は園田本位でしょうから、私の立場があまり有利じゃないかもしれないのよ。あの人自身の気持の動きはまた別よ。それにあの人だって、私を不利益な立場に陥《おとしい》れて、そこに附けこんで来ようというほど非紳士的でもないでしょうけれど、そういう打算は別としても、とにかく、私に対する条件はあまりよくないでしょうと思うの。」
 葉子の口吻《くちぶり》から察すると、黒須は結婚の話を進めるというよりも、その前提として、葉子自身の結婚生活に入ってからの心構えについて、しっかりしたことを確かめておきたいという希望であろうということは、庸三にも気のつかないことではなかった。果してほんとうに貞淑な家庭婦人となることができるか否か、当てがわれた金額の許す範囲以内で、節約的な生活ができるかどうか――そういった問題が、庸三をオブザアヴァとして黒須から提出されるのではないかと考えた。しかし庸三自身にしても、彼女に園田のような輝かしい前途を
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