することもできないのに、始終風車のように廻っている葉子のような若い女性の心を、老年の、しかも生活条件の何もかもがよくないだらけの、庸三のような男が、永久に引き留めておける理由もないことは、運命的な彼の悩みであったが、また悽愴《せいそう》なこの恋愛がいつまで続くかを考えるたびに、彼は悲痛な感じに戦慄《せんりつ》した。みるみる彼の短かい生命は刻まれて行くのだった。
お浚《さら》いが済んだ後で、その青年はじめ二三の淑女だちとともに、庸三と葉子も、軽い夜食の待遇《もてなし》を受けて、白いテイブル・クロオスのかかった食卓のまわりに坐って、才気ばしったお愛相《あいそ》の好い師匠を中心に、しばし雑談に時を移したが、その間も葉子は始終|俛《うつむ》きがちな蒼白《あおじろ》い顔に、深く思い悩むらしい風情《ふぜい》を浮かべて、黙りとおしていた。それが病気のためだとしても、そんなことは前後に珍らしかった。
それと今一つは、手術場での思いがけない一つの光景が、葉子の、しかしそれはすべての女の本性を、彼の目にまざまざ見せてくれた。
庸三はその時担架に乗って、病室から搬《はこ》び出されて行く葉子について、つ
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