チビの魂
徳田秋声
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)亦《また》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)兎に角|圭子《けいこ》は
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)けんどん[#「けんどん」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぽちや/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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彼女も亦《また》人並みに――或ひはそれ以上に本能的な母性愛をもつてゐた。間歇《かんけつ》的ではあつたが、五年も六年も商売をしてゐたお蔭で、妊娠の可能率が少ないだけに、尚更《なほさ》ら何か奇蹟《きせき》のやうに思へる人の妊娠が羨《うらや》ましかつたり、子持の女が、子をもつた経験のないものには迚《とて》も想像できない幸福ものであるやうに思へたりしてならないのであつた。子供といへば豕《ぶた》の仔でも好きな彼女であつたので、散歩の途中犬屋の店で犬の子が目につくと、何をおいても側へ寄つて、本当に可愛ゆくて為方《しかた》がないやうに見てゐるのだし、町の店屋などで綺麗な猫が見つかると、そこで余計な買ひも
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