っし》には肖《に》ていまい。そう思っていれあ確《たし》かだ」鶴さんは鼻で笑いながら、後向になった。
「どうせそうでしょうよ、これは私のお土産ですもの」お島は不快な気持に顔を赧《あから》めた。「でも笑談《じょうだん》にもそういわれると、厭なものね。子供が可哀そうのようで」
「此方《こっち》の身も可哀そうだ」
「それは色女に逢えないからでしょう」
 二人の神経が段々|尖《とが》って来た。そしてお島に泣いて突かかられると、鶴さんはいきなり跳起《はねお》きて、家では滅多にあけたことのない折鞄をかかえて、外へ飛出してしまった。その折鞄のなかには、女の写真や手紙が一杯入っているのであった。
 今もお島は、何の気なしに聞過していた姉の話が、一々深い意味をもって、気遣しく思浮べられて来た。姉の話では、鶴さんの始終抱えて歩いている鞄のなかの文《ふみ》が、時々植源の嫁の前などで、繰拡げられると云うのであった。
「それは可笑《おか》しいの」姉は一つはお島を煽《あお》るために、一つは鶴さんと仲のいい植源の嫁への嫉妬《しっと》のために、調子に乗って話した。
「その女というのが、美人の本場の越後から流れて来たとや
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