うばごうし》にもたれて、ぼんやりしていた。お島の体は、単衣《ひとえ》もののこの頃では、夕方の涼みに表へ出るのも極《きまり》のわるいほど、月が重っていた。
 旅から帰って来た鶴さんは、落着いて店で帳合をするような日とては、幾《ほと》んど一日もなかった。偶《たま》に家にいても、朝から二階へあがって、枕などを取出して、横になっているような事が多かった。機嫌のいい時には、これまで口にしたこともなかった、猥《みだ》らな端唄《はうた》の文句などを低声《こごえ》で謡《うた》って、一人で燥《はしゃ》いでいた。
「おお厭だ、誰にそんなものを教わって来ました」お島はぼつぼつ支度にかかっていた赤子の着物の片《きれ》などを弄《いじ》りながら、傍で擽《くすぐ》ったいような笑方《わらいかた》をした。
「面白くでもない。北海道の女のお自惚《のろけ》なんぞ言って」
「どうして、そんなんじゃない」と云いそうな顔をして、鶴さんは物珍しげに、形のできた小さい襦袢《じゅばん》などを眺めていた。
「ちょいと、貴方《あなた》はどんな子が産れると思います」お島は始終気にかかっている事を、鶴さんにも訊《き》いてみた。
「どうせ私《あ
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