切《きれ》の長い目が細くて、口もやや大きい方であったが、薄皮出の細やかな膚の、くっきりした色白で、小作《こづくり》な体の様子がいかにも好いと思った。いつも通るところとみえて、鶴さんは仕立物などを散《ちら》かしたその部屋へいきなり入っていこうとしたが、おゆうは今日は更《あらた》まったお客さまだから失礼だといって、座敷の床の前の方へ、お島のと並べてわざとらしく座蒲団《ざぶとん》をしいてくれた。
「そう急に他人行儀にしなくても可《い》いじゃありませんか」鶴さんは蒲団を少しずらかして坐った。
「いいじゃありませんか。もう極《きまり》のわりいお年でもないでしょう」おゆうは顔を赧《あから》めながら言って、二人を見比べた。
「貴女《あなた》ちっとは落着きなさいましてすか」おゆうはお島の方へも言《ことば》をかけた。
「何ですか、私はこういうがさつ[#「がさつ」に傍点]ものですから、叱《しか》られてばかりおりますの」お島は体《てい》よく遇《あしら》っていた。
「でもあの辺は可《よ》うございますのね、周囲《まわり》がお賑《にぎや》かで」おゆうはじろじろお島の髷の形などを見ながら自分の髪《あたま》へも手をや
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