度《きっと》平気になれます」お島は自信ありそうに言った。[#「言った」は底本では「言つた」]

     百五

 忙《いそが》しいその一冬を自転車に乗づめで、閑《ひま》な二月が来たとき、お島は時々疑問にしていながら、診てもらうのを厭《いや》がっていた、自分の体をふとした機会から、病院で医者に診せた。
「……毛がすっかり擦切れてしまったところを見ると、余程《よっぽど》毒なもんですね」
 お島はそう言って、そこを小野田に見せたりなどしていたが、それはそれで真《ほん》の外面の傷害に過ぎないらしかった。
 その病院では、お島の親しい歯科医の細君が、腹部の切開で入院していた。そこへお島は時々見舞に行った。
 そんなところへも自分の商売を広告するつもりで、看護婦や下足番などへの心づけに、切放《きれはな》れの好いお島は、直に彼等とも友達になったが、一二度体を診てもらううちに、親しい口を利《き》きあう若い医師が、二人も三人もできた。
 段々|肥立《ひだ》って来た、売色《くろうと》あがりの細君の傍で、お島は持って行った花を花瓶《かびん》に挿《さ》したり、薄くなった頭髪《あたま》に櫛《くし》を入れて、束
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