を隠すために、こってり塗りたてた顔が、凄艶《せいえん》なような蒼味《あおみ》を帯びてみえた。
「莫迦《ばか》に若くみえるね。少くとも布哇《ハワイ》あたりから帰って来た手品師くらいには踏めますぜ」木村は笑った。
 お島はその身装《なり》で、親しくしているお顧客《とくい》をまわって行った。その中には若い歯科医や弁護士などもあった。
「どこの西洋美人がやって来たかと思ったら、君か」
 途中で行逢った若い学生たちは、そういって不思議な彼女の姿に目を※[#「※」は「目+爭」、第3水準1−88−85、190−14]《みは》った。
「その身装《なり》で、ぜひ僕んとこへもやって来てくれたまえ」
 彼等の或者は、肉づきの柔かい彼女の手に握手をして、別れて行ったりした。
「洋服はばかに評判がいいんですよ」
 お島は日の暮に帰って来ると、急いで窮屈なコルセットをはずしてもらうのであったが、薄桃色肉のぽちゃぽちゃした体が、はじめて自分のものらしい気がした。
 小野田は色々の学校へ新《あらた》に入学した学生たちの間に撒《ま》くべき、広告札の意匠などに一日腐心していた。

     百三

 時間割表などの刷込ま
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