子を入れてくれた。
「老爺《おやじ》はああいいますけれど、お上さんの気前を買って、私がお貸し申しましょう。だから入れられるだけ入れてみて下さい。倒されればそれまでです」
 そしてその翌朝、彼は小僧と一緒に硝子を運びこんで、それを飾窓や入口のドアなどに切はめてくれた。
「お前さんは若いにしては感心だよ。そう云う風に出られると、誰だって贔屓《ひいき》にしないじゃいられないからね。また好いお得意をどっさり世話してあげますよ」
 お島はそう言って、その硝子屋を還した。
 看板を書くために、ペンキ屋が来たり、小野田が自転車で飛して、方々当ってみてあるいた羅紗のサンプルが持込まれたり、スタイルの画見本の額が、店に飾られたりした。
 白い夏の女唐服に、水色のリボンの捲《ま》かれた深い麦稈《むぎわら》帽子を冠《かぶ》って、お島が得意まわりをしはじめるようになったのは、それから大分たってからであった。
「どうです、似合いますか」などと、お島は姿見の前を離れて、その頃また来ることになった木村という職人や小野田の前に立った。コルセットで締つけられた、太い胴が息がつまるほど苦しかった。皮膚の汚点《しみ》や何か
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