「面倒ですから、材料も私《あっし》の方から運びましょうか」
 父親の縁故から知っている或|叩《たた》き大工のあることを想出して、そこへ駈《かけ》つけていった彼女は、仕事を拡張する意味で普請を嘱《たの》んだところで、彼は呑込顔にそう言って引受けた。
「そうしてもらいましょうよ。私達は材料を詮議《せんぎ》している隙《ひま》なんかないんだから」
 材木がやがて彼等の手によって、車で運びこまれた。
「どうです、訳あないじゃありませんか」
 大工が仕事を初めたところで、釘《くぎ》をすら買うべき小銭に事かいていたお島は、また近所の金物屋から、それを取寄せる智慧《ちえ》を欠かなかった。
「これから普請の出来あがるまで、何かまたちょいちょい貰《もら》いに来るのに、一々お金を出すのも面倒ですから、お帳面にしておいて下さいよ。少しばかりお手つけをおいてきましょう」
 お島は夜を待つまもなく、小僧の順吉に脊負《しょ》いださせた蒲団《ふとん》に替えた、少《すこし》ばかりの金のうちから、いくらか取出してそれを渡した。その蒲団は、彼女が鶴さん時代から持古している銘仙ものの代物《しろもの》であった。
「乗るか反《
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