度も逢っているうちに、自然《ひとりで》に彼女の口から洩聞されるので、その事も気にかかっているらしかったが、やっぱり自分の手でそれをどうしようと云う気にもなれないらしかった。
「そんな事を言わずにまあ辛抱するさ」
 お島はその時の調子で、どうかすると心にもない自分の身《み》の上《うえ》談《ばなし》がはずんで、男に凭《もた》れかかるような姿態《ようす》を見せたが、聴くだけはそれでも熱心に聴いている浜屋が、何時でもそういった風の応答《うけごたえ》ばかりして笑っているのが物足りなかった。
「あの時分とは、まるで人が変ったね」お島は男の顔を眺めながら言った。
「変ったのは私ばかりじゃないよ」お島は男がそう云って、自分の丸髷姿をでも見返しているような羞恥《しゅうち》を感じて来た。
「月日がたつと誰でもこんなもんでしょうか」
 お島は二階の六畳で疲れた体を膝掛《ひざかけ》のうえに横《よこた》えている男の傍に坐って、他人行儀のような口を利いていたが、興奮の去ったあとの彼女は、長く男の傍にもいられなかった。
 部屋には薄明い電気がついていた。お島はどうしても直《ぴった》り合うことの出来なくなったような、
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