が、それはその時で、聴流しているのであった。
「私のこったもの、どうせ好くは言われないさ。あの田舎ものにこの上さんの気前なんかわかるものかね」
お島はそう云って笑っていたが、新しく入って来たものから、世間普通の嫁と一つに見られているのが、侮辱のように感ぜられて腹立しかった。
「お上さん今夜は好いことがあるんだから、何かおごろうか」お島は二人に言った。
「おごって下さい」
「じゃ、みんなおいでおいで」
お島は先に立って、何か食べさせるような家を捜してあるいた。
「……上さんを離縁しろなんて言っていましたよ」
風の吹通しな水辺の一品料理屋でアイスクリームや水菓子を食べながら、順吉は話した。
「へえ、そんなことを言っていたかい」お島はそれでも極《きま》りわるそうに紅くなった。
「へん、お気の毒さまだが、舅《しゅうと》に暇を出されるような、そんな意気地なしのお上さんと上さんが異《ちが》うんだ」
九十六
お島が毎日のように呼出されて、市内の芝居や寄席《よせ》、鎌倉や江の島までも見物して一緒に浮々しい日を送っていた山の連中は、田舎へ帰るまでに、一度お島達夫婦のところへも遊びに
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