しく飲んでいられないような野性的な彼の卑しい飲み癖が、一層お島を顰蹙《ひんしゅく》させた。
九十四
山で知合になった人達が、四五人誘いあわせて出て来てから、父親は一層お島たちのために邪魔もの扱いにされた。
連中のうちには、その頃呼吸器の疾患のため、遊覧|旁《かたがた》博士連の診察を受けに来た浜屋の主人もあった。山の温泉宿や、精米所の主人もいた。精米所の主人は、月に一度くらいは急度《きっと》蠣殻町《かきがらちょう》の方へ出て来るのであったが、その時は上さんと子供をつれて来ていた。
その通知の葉書を受取ったお島は、大きな菓子折などを小僧に持たせて、紋附の夏羽織を着込んで、丸髷《まるまげ》姿で挨拶のために、ある晩方その宿屋を訪ねたが、込合っていたので、連中はこの部屋にかたまって、ちょうど晩酌の膳に向いながら、陽気に高談《たかばなし》をしていた。
「えらい仕揚げたそうだね。そのせいか女振もあがったじゃねえか。好い奥様になったということ」
精米所の主人は、浴衣《ゆかた》がけで一座の真中に坐っていながら言った。
「御笑談でしょう」
お島は初《うぶ》らしく顔の赤くなるのを覚え
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