に二階に寝ていたお島に小言をいった。彼女は筋張った顳※[#「※」は「需+頁」、第3水準1−94−6、172−13]《こめかみ》のところを押えながら、小野田を遣返《やりかえ》した。
お島はいつもそれが起ると、生死《いきしに》の境にでもあるような苦しみをする月経時の懈《だる》さと痛さとに悶《もだ》えていた。
「それに私はこの体です。とてもお父さんの面倒はみられませんよ」
九十三
「そんな事を言ってもいいのか」
そう言って極《きめ》つけそうな目をして、小野田は疳癪《かんしゃく》が募って来るとき、いつもするように口髭《くちひげ》の毛根を引張っていたが、調子づいて父親を※[#「※」は「疑」の左側+欠」、第3水準1−86−31、173−4]待《もてな》していた彼女に寝込まれたことが、自分にも物足りなかった。
お島は煩《うるさ》そうに顔を顰《しか》めていたが、小野田が悄々《すごすご》降りていったあとでも、取《とり》つき身上《しんしょう》の苦しさと、自分の心持については、何も知ってくれないような父親の挙動《ふるまい》が腹立しかった。自分にどんな腕と気前とがあるかを見せようとでもする
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