日に日に濃い色を見せて来ていた。蟻《あり》のように四方から集ってくる群衆のうえに、梅雨《つゆ》らしい蒸暑い日が照りわたり、雨雲が陰鬱な影を投げるような日が、毎日毎日続いた。
お島は新調の夏のコオトなどを着て、パナマを冠《かぶ》った小野田と一緒に、浮いたような気持で、毎日のように父親をつれて歩いたが、親に甘過ぎる男の無反省な態度が、時々彼女の犠牲的な心持を、裏切らないではいなかった。無知な老人《としより》の彳《たたず》んで見るところでは、莫迦孝行な小野田は、女にのろい男か何ぞのように、いつまでも気長に傍についていて、離れなかった。驚きの目を※[#「※」は「目+爭」、第3水準1−88−85、172−6]《みは》って、父親の立寄って行くところへは、どんな満《つま》らないものでも、小野田も嬉しそうに従《つ》いて行って見せたり、説明したりした。
「それどころじゃないんですよ。私たちはそう毎日々々親の機嫌を取っているほど、気楽な身分じゃないんですからね」
晩方になると、きっとお仕着せを飲ませることに決《きま》っている父親への、酒の支度を疎《おろそ》かにしたといって、小野田がその時も大病人のよう
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