歓楽とに憧《あこが》るる心とが、それを彼女に想像させるのであった。
 一旦田舎へ引込んで、そこで思わしいことがなくて、この頃また東京へ来て、日本橋の方の或洋酒問屋にいるとか聞いた鶴さんのことをも、時々彼女は考えた。植源のおゆうが、鶴さんの迹を追って、家を出たりなどして、あの古い植木屋の家にも、紛紜《いざこざ》の絶えなかった一頃の事情は、お島もこの頃姉の口などから洩聞《もれき》いたが、その鶴さんにも、いつか何処かで逢う機会があるような気がしていた。
 それに鶴さんや浜屋と、はっきりその人は定《きま》っていないまでも、どこかに自分が真実《ほんとう》に逢うことのできるような男が、小野田以外の周囲に、一人はあるような気がしないでもなかった。成功と活動とのみに飢え渇《かつ》えているような荒いそして硬い彼女の心にも、そんな憧憬《あこがれ》と不満とが、沁出《しみだ》さずにはいなかった。
 お島はそれからそれへと、※[#「※」は「夕」の下に「寅」、第4水準2−5−29、170−6]縁《つて》を求めて知合いになった、自分と同じような或他の職業に働いている活動の女、独立の女、人妻になっている女などから聞さ
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